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僕のモノクロの世界に色を足してくれたのは、他でもない芭蕉さんだった。
僕には他の人にはない、ある記憶があった。
それは前世の記憶。
だか、それを周りの大人たちは認めてはくれない。
たちの悪い妄想だ、早く忘れなさいと父は言った。
前世なんて、存在するわけないじゃないと母は言った。
気味が悪い子供だと近所の大人が言った。
全て君の夢なんだと、白い服を着た大人が言った。
それでもこの記憶を信じ続けた。
それが2人を繋ぐたった1つの絆だから。
あの人の句を本で読んだときの魂を揺さぶられる感覚は嘘ではないと信じたいから。
それでも、周りの大人たちの話を聞いていくたび、少しずつ前世の記憶が遠くなって行く。
それにともなって、今までキラキラしていた世界が段々にくすんだ色になっていく。
それが・・・僕は怖かった。
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