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忘れないと誓ったあの日の記憶は、2人で歩いたあの旅路は、本当に全部僕の妄想なのだろうか。
「新入生の皆さん、速やかにクラス分け表を見て自分の教室に行ってー。じゃないとこのマッスオがお仕置きするぞ!!」
入学おめでとう。と書かれた看板のとなりで、スピーカーを使ってなにかを喚いてるひとがいる。
よく見てみれば、その人はもう四十代近いようなおっさんだった。
あの歳で元気にスピーカーを持ちキャッキャと跳び跳ねている様子は、いっそ尊敬に値するかもしれない。
他にする事もする気もないのでボンヤリとその人を観察していると、一つ一つの行動や言動が芭蕉さんとにていることに気がつく。
もしや、あの人は…松尾芭蕉の生まれ変わり?
いや、決めつけるのはまだ早い。
他人のそら似の可能性だってある。
だが、あんないい歳をして馬鹿なことをやる馬鹿爺はあの馬鹿な人以外見たことない。
もしかしたら…。
そんな葛藤をしているとき、あの馬鹿な爺と目があった。
彼は一瞬驚いたような顔をして、そのあとすぐにこういった。
「もう、ずっと立ちっぱなしで足がパンらはぎだよ!!」
・・・僕の世界はまた輝き始めた。
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