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また、同じ夢だ。
小さい頃から何度も見た夢。
当然、夢の中のあの人に出会ったことは一度もないし、あの人が出てくる夢はこれの他に見たことがない。
ただ1つ言えることは、あの人に向けている自分の感情はまるで・・・、まるで恋のようだということ。
眠い目を擦りながらベットサイドに置いてある目覚まし時計を取る。
目覚まし時計といっても、時計替わりにしている携帯のことだが。
携帯を開けて、液晶に写った数字に思わず思考が止まった。
・・・思考と一緒に、時間も止まってくれたら良いのに・・・
俺はベットから飛び出して、制服に着替え教科書と財布の入った鞄と携帯を持って家から飛び出した。
「こら。鬼男、いってきますはどうした。」
うしろでお父さんの声が聞こえた気がしたが、無視しておいた。
そんなことに構ってなんていられない。
これからの俺の青春がかかっている。
誰にも邪魔させるわけにはいかない。
だって今日は大事な日、人生で一度しかないイベント・・・、そう、高校の入学式なのだから!!
遅刻でもした日には三年間、それをネタにされ続けるのは目に見えている。
実際、ネタにされ続けた人をみたことがあるから尚更だ。
小野妹彦、あれは悲惨だった。
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