下からみる景色(佐久間)

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俺を闇へと誘ったその手は俺の肩に触れて、鎖骨に触れて、首筋に触れて、輪郭に触れて、唇に触れた。 闇は心地よいものだ。 堕ちていく、重力に逆らうなどと無駄な足掻きをしなくて良いから。 ふと上を見上げると過去の仲間達が白い世界で上に上がろうと必死に足掻いているのが見えた。 しかしそれも直ぐに黒い靄にうめつくされ、見えなくなった。 暫くして上を見上げていた頭を下に、底の見えぬ暗黒に向けた。 このまま堕ちていくと一体何処に行くのか。 そもそもこの闇に終着点などあるのか。 少々どうでも良い疑問が頭を掠めたが堕ちていくのには変わりなく、そこで思考を停止させた。 結局、堕ちていくのだ。 その先に何が有るのか、そんなもの着いたら分かる。 地獄か、天国か。 もし終着点がなくても、それはそれで良いのではないか。 ―完全なる、思考停止。― 分かっているのは、この闇の先に幸福や幸せなどという類いのものは決して有りはしないという事だけ。
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