源田←佐久間(佐久間語り?)

2/2
83人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
世の中の殆どの人々は、男同士の恋なんて気持ち悪いと思うだろう。 俺も、少し前まではそう思っていたから、その気持ちは分かる。 しかし、俺は恋をした。 それも男に、だ。 自分自身、同性が恋愛対象になるなんて死んでもないと思っていた。 だか、してしまったのだ、男相手に恋を。 同性愛に悩んでいることを知らないあいつは、無邪気な笑顔を周りに振り撒いている。 やめてくれ。 俺だけを見てくれ。 恥ずかしい事に仲間という同性にも、恋の処為(せい)で嫉妬してしまう。 恋とは末恐ろしいものだなと、ふと思うと同時に、目の前にいる俺の片思い相手を見た。 目が合った。 それを逸らす事も出来ずに、見つめ合う。体感時間では何分も過ぎた感覚になるのに、実際の時間では十秒も経っていないのだろう。 そうこうしているうちに、そいつは俺がぼうっとしている事に気付き、近付いてきた。 「大丈夫か?佐久間。さっきかららしくないぞ」 「いや、なんでもない。平気だ」 「そうか、無理はするなよ」 「言われなくとも分かっている」 しまった、つんけんした態度をしてしまったと思った時にはもう遅く、そいつは何かあったら直ぐに言えよ、と一言残して自分の持ち場に返ってしまった。 …いや、ちょっとまて。 あいつは何て言った? さっきから、俺の事を見ていた、のか? 自覚して言ったのか、いや、あいつの事だ、無自覚だろう。 しかし、嬉しいのには代わりなく、顔が赤くなった事を皆にばれないように片手で覆った。 ―――Jealousy?―
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!