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―早く、戻って来て下さい―
―……鬼道さん―
一昨日も、昨日も今日も、貴方の居ない日々が続く。
そして明日も明後日も、それは続くのだろうか。
総帥の居ない今、新しい監督や教師などは頼りにならず、自分達の力で何とかして行かなければならなくなった帝国学園サッカー部。
貴方の代わりに俺と源田が中心になり、チームを指揮し、導かなければならない。
最近では、その“貴方の代役”という役割にも慣れてきたし、チームメイトも、ぎこちないが何とか纏まり、やって行けていると自分でも思う。
でも、不安な事は沢山あるし、はっきり言ってしまうと…寂しい。
―早く貴方に会いたい。―
その思いだけが日々つのっていってしまう。
しかし、帝国学園サッカー部から抜けると、チームメイトや友達に迷惑をかけてしまう。
そして貴方に心配を、迷惑をかけてしまうのが何より恐かったから、貴方には会いに行けない。
―もどかしい―
いつから俺は乙女になったんだ。
これじゃあ、恋をしているそこら辺の女子と同じじゃないか。
早く、普段通りの俺に戻らないと…。
だけど、俺にとっての“普段”は…
―貴方が何時も中心にいました―
もう、戻る事のない。
俺の“普段”。
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