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一番窓際の後ろから二列目。
そこが最後の俺の席だった。
そこからグラウンドを見下ろす。
2年ちょっとの間、毎日走り続けた部活が思い起こされた。
なんだって、あんな必死に走ってたんだろう。
走り続ければ、いつか何かが見えるんじゃないかって。
どこかで期待してた。
でも。
結局何も見つからないまま、現在に至る。
いや……
むしろ見つかったのは、どこまで走ってみても疲れるだけで何も得られないって結果だけだった。
……って。
俺、どこまで歪んでんだよ?
自分自身にため息をつきながら、机の上に残された荷物をまとめる。
パタパタとした足音を聞いたのは、その時だった。
電気が付いてなくても、うっすらと明るい静かな世界に、自分以外の登場人物がいると思ってなかった俺は、少し驚きながらも入口へと目を向ける。
まもなく姿を現したのは、卒アルを大切そうに抱えて頬を赤く染めた月岡めぐみだった。
教室の入り口で、俺に気づいたらしい彼女も、まさか俺がいるとは思ってなかったようで、大きな瞳をさらに大きく見開いて俺をまっすぐ見つめる。
「……あ。えっと」
何か気まずい空気が漂う。
「西塚君、大丈夫……?」
沈黙と重苦しい空気をを押し消すように、月岡が目をそらしながら尋ねてきた。
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