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☆
そろそろ授業がはじまろうとする校舎の廊下を二人は肩を並べて歩く。
だが片方は進むペースを少しずつ落とし、ついにはしゃがんでしまった。
「レイズ。疲れた……」
先を歩いていたレイズは立ち止まり、呆れたように後ろを振り返った。
「おいおい。少ししか歩いてないぞ?
体力なさすぎじゃないか?」
「僕も……自覚している」
「それなら運動くらいしろ。
少しはマシになるぞ」
「ルイセにも同じようなことを言われた」
カナタは完全に座り込むと「動けない」というようにレイズを見上げる。
「ったく。だから【お荷物】と呼ばれるんだぞ。
お前とは誰も【任務】をしたがらないはずだ。【学園】内では」
と、レイズはため息をする。
学園では月に一度、授業の一環で【任務】をすることになっている。
任務とは学園外で活動することだ。
魔物退治から猫捜しまで。己の実力にあったことをする。
しかしそれは学生としてできる範囲内でのことだ。
命に関わる難易度が高いのはギルドに任せている。
――ギルド。
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