カナタとルミナス【前編】

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「カナタさん、しっかり~」 彼女はカナタを心配しつつ、再び抱き締める。 「ルミナス教師。カナタにトドメを刺すつもりか?」 「ふぅ、そうね~。カナタさん意識がないし、えとえと、ここは人工呼吸~」 彼女はおろおろしつつ、とんでもないことを口にする。 人工呼吸=キス。 人助け、というより、彼女がしたいからといった感じである。 彼女の名前はルミナス=バーズ。 魔法剣士というより赤魔導師である。 エレント学園の魔法科の教師でもあった。 ちなみにカナタの担任だ。 「ウチにとってもファーストキスですがカナタさんを救うため、へへ……仕方なくするね。  カ・ナ・タ・さん」 目を閉じ唇をつき出す。 教師が生徒にキスを迫るのは何だか背徳感がある。 しかもそういうことに初そうなルミナスがしているのだ。 それを見た男子は鼻血を出し、女子は目をまるくし、ルイセとユズキは怒るだろう。 レイズは…………ただ呆れていた。 彼にとってそれは見慣れた光景だからだ。 ルミナスは教師でありながら【ダサイ】カナタにゾッコン。 それはエレント学園の十三不思議に認定されていた。
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