カナタとルミナス【前編】

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カナタは薄い笑みを浮かべて、 「お風呂はいるのもそうだし、お湯沸かすのもめんどくて」 「いけませんよ~。体は常に清潔に」 「……誰も……困らないし」 カナタはぽりぽり頬を掻く。 「もう、仕方ありませんね~。  カナタさん。ウチと今からお風呂にはいりましょう」 ――は? そう間抜け面をしたのはレイズだった。 「ルミナス教師。今、なんつった?」 聞き間違いだと思った。いや、聞き間違いだと思いたかった。 エレント学園の教師は個人の部屋がある。 そこらの宿や寮などよりも内装は上等だ。 トイレや風呂場も完備され、何年も住もうと思えば住める。 「レイズ君はその年で耳が悪いの?」 「いや、ちゃんと聞こえた。俺は確認したいだけだ」 「だからね~。今からカナタさんとお風呂――」 「ぅおい!?」 突然声を張り上げ、部屋に踏み込もうとする。 が、【カナタトラップ君】に阻まれ、レイズは吹っ飛ぶ。 「……学習能力のない」 「フフ。レイズ君は万年赤点野郎だから」 カナタとルミナスは顔を見合わせて呆れ、バカにしたように笑う。
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