カナタとルミナス【前編】

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「うん。ちょうどいいね」 浴槽に指をいれて湯加減を確かめたルミナスは頷いた。 カナタは赤ちゃんみたいに肌が弱い。 少しでも熱かったらすぐに肌が赤くなる。 「さてさて、カナタさん。ウチが脱がせてあげますからね」 脱衣場に戻ったルミナスはボーッと立つカナタに言った。 「ん。脱ぐくらい一人でできるよ」 「ダメ~。カナタさんは脱ぐのも遅いから。ウチに全部まかせて」 カナタは口では遠慮するように言うがまったく抵抗しなかった。 ルミナスの好きなように脱がされていく。 カナタが裸に近づくにつれてルミナスの表情が艶っぽくなる。 「それじゃあ最後に眼鏡を~」 ルミナスは言ってカナタの牛乳瓶底みたいな眼鏡に手を伸ばす。 するとカナタは信じられないはやさでルミナスの手をかわした。 「これはダメだよ。僕の大切なものだから」 珍しくカナタは鋭く、睨むようにルミナスを見上げた。 「……ごめんなさい」 ルミナスはしゅんとなってカナタに謝る。 見る者のほとんどが【ダサい】という眼鏡だがカナタは命より大切にしていた。
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