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カナタは男の子らしくない体つきをしている。
暑い日光のもとに出ることが苦手なカナタの肌は白い。
しかし、背中の一部だけ肌の色が違っていた。
右肩一面に広がる、赤黒い傷痕。
それは見る者が吐き気を覚えるくらいに醜く、それに触れたら感染すると言われたら誰だって信じるかもしれない。
それほどに酷かった。
「ん……ルミナスさん?」
カナタの声が聞こえ、ルミナスは我に返った。
「ううん。何でもない」
ルミナスは首を横に振って、手を伸ばしてカナタの【傷痕】に触れた。
そこは脈打つように熱かった。
ルミナスは額をカナタの背中に押しつけ、目を閉じて【傷痕】を撫でる。
そして小さな声で、
「ごめんなさい」
呟くように謝った。
カナタはくもった眼鏡のレンズ越しにルミナスを見た。
「……ルミナスさん?
どうして……謝るの?」
「この傷……ウチのせいで」
目を閉じたらはっきりと思い出される【あの時】のこと。
カナタに一生消えない傷を残してしまったのは自分。
忘れようとしても忘れることのできない、自分の罪。
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