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彼女が知る最高の白魔導師ですら癒すことができなかった。
白魔導師……癒しのエキスパートだ。
怪我や毒、麻痺などから回復させる魔法が得意。
大抵の傷なら傷口もふさぐが、カナタのアザは彼の【心】……つまり魂が欠けたため、最高の治癒魔法でも無理だった。
「ルミナスさんが……謝る必要……ないよ?」
「でも……」
「この傷が疼くことないし……生活するのに支障、しないから」
「……ん」
ルミナスは少し傷が癒えるようにと、カナタのアザにキスを落とした。
「カナタさん。ウチは一生、カナタさんと一緒に」
「うーん。それ、困る」
「ふえ……!?」
いきなり拒絶されたことにルミナスは目を丸くする。
「ルミナスさんはルミナスさんの人生を歩んでほしいし。
僕は本当に気にしてないから」
この話をするならお風呂から出ると腰を浮かしかけるカナタの肩をルミナスは掴む。
「うん。もうしないね。このまま出たら風邪ひいちゃうから。
それからカナタさんが言ったようにウチは自分で人生を決めるね」
ルミナスはそう言ってカナタに気づかれないように笑う。
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