カナタとルミナス【後編】

19/19
27441人が本棚に入れています
本棚に追加
/897ページ
――半端な覚悟だと身を滅ぼす。 カナタに以前、そう言われた。 これは生命の、生きるギリギリまでの血を赤い注射器は吸い込む。 下手をしたら本当に死んでしまうのだ。 赤い注射器が吸収するのは大量の血と膨大な魔力。 「ウチ……わかってなかった」 ルミナスは下唇を噛んで表情を改めると服の袖を捲って露になった白い腕をカナタに差し出した。 「ん。思い出した。もうふざけない。このことに関しては。  だから、お願い……します」 「…………」 カナタは白い腕にキスを落とし、何かを祈るように目を閉じた。 そして目を開けて注射器の状態を確かめる。 静かに……ルミナスは本当に静かに目を閉じていて。 カナタは注射針をルミナスの腕に刺した。 「ああぁぁぁぁぁぁ~~っ!?」 ルミナスの悲鳴に似た声が響き渡った。 .
/897ページ

最初のコメントを投稿しよう!