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☆
「何だか嫌な予感がします!」
武芸科、二年一組の教室の中。
ルイセは机に教科書をしまいつつ、いきなりそんなことを口にした。
「何か不吉な――そう、カナタ君の身に何かが起こってるような」
女の勘、というやつだろうか。
ルイセは授業中、カナタのことが気になって仕方がなかった。
昼休み、ルミナス教師に呼ばれたカナタはどうなったのか。
ルミナスが【眼鏡君】ことカナタに異様な執着を持っているのを当然、ルイセも知っている。
何かと理由をつけてはカナタを呼んでいる。
二人の間に秘密めいた何かがあることにルイセは気づいていた。
しかし自分は幼なじみ。そう、ただの。
必要以上にカナタに干渉する権利はない。
「むーっ」
ルイセは眉をひそめつつ席を立った。
何だか胸騒ぎを覚えて教室を出る。
と――
「ルイセ。どこに行くのよ?」
後ろから声がかかり、ルイセは振り返った。
亜麻色の髪の美少女が腰に手を当てて立っている。
「ユズキさん。今からルミナス教師のところです」
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