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「彼女はかわいいものだ。嫁に欲しいところだ」
「まさか、そっちの趣味が?」
「そんなわけあるか!」
「だったらカナタさんの!?」
「バカか!」
ヒナタは吠える――聖騎士らしくない態度で腕を振り回しつつ、
「カナタの嫁はアタシだ!」
「なっ……図々しいことを!?」
ルミナスはかっ、と目を見開く。
「カナタさんはウチの嫁です! 勝手なことをほざかないでください!?」
「頭にムシでもわいているのか?」
ヒナタはぽんぽんと自分の頭を叩く。
カナタは男だ。
女ではない。
だから婿はなれても嫁にはなれない。
「教師と生徒の結婚は許されない。いや、アタシが許さない」
「まあ、姉弟で結婚うんぬを言う方よりましですよ」
「義理だ、義理。義理のキョウダイの婚姻は認められている」
「うぅ~っ……」
「……むむ~っ」
醜い争いを繰り広げる美女と幼女。
二人の頭上で暗雲のようなものがたちこめ、ピカッ、と稲妻が走る。
やがて二人は同時にため息をする。
そして同じタイミングで呟いた。
「「……むなしい」」
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