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脱力したように二人して座り込む。
「本物のカナタさんが恋しいです」
ルミナスは見上げた空に何でもない雲が流れていたがそれはどことなくカナタに見えて涙する。
カナタの人形で悶々とした日々を数ヶ月過ごしたわけだが、心が満たされることはなかった。
まあ、当然であるが。
むしろかえってカナタが恋しくなり、切ない気持ちでいっぱいだった。
それはヒナタも同じだった。
カナタの姿を見ないだけで背丈が縮んだように思う(本人談だが)。
「ウチ……もう我慢ができません」
言ってから学園長代理である証の腕章をはずしてから捨てる。
「ウチは教師職をいったん離れ、一人のオンナになろうと思います」
むふん♪ と鼻息荒くして腰に手をやるルミナス。
「いくら何でもあのババァは遅くありません?」
「アタシが言うのも何だが、アンタ……口が悪いな。学園長にババァ――孫以外に言われたら学園長はプッツンするぞ」
「いいのですよ。ババァはババァ。ウチに代理を押しつけてどれくらいの日が続いているか……学園から離れたことをいいことに羽を伸ばして旅を満喫しているのですよ、あのババァは」
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