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憎々しそうにルミナスは吐き出す。
「ウチ、決めました。カナタさんを追います」
「仕事を放棄する気か? アタシだってカナタのところに行きたいが、立場上それはできないんだぞ」
「だから代理の代理をたてます」
「誰にだ?」
「ツキヨさんのお孫さんに」
「レイズにか? あれは生徒だぞ。というか――」
むいていない。
あれは不良生徒だ。
たとえまわりが補佐的なことをしてもバカなあれのこと、途中で投げ出すに決まっている。
「大丈夫ですよ。逃げるまねをしたらその時は……クスクス」
「…………」
ヒナタは変なものを見るような眼差しをルミナスに向ける。
壊れている、と思う。
「アンタを行かせたくないが、カナタのことを考えると」
カナタを追って幼なじみの少女が二人、学園を離れている。
世界は非常に厳しい――大人がいないと都合が悪いことだらけだ。
カナタが【あれ】とはいえ、どうしても心配してしまう。
誰かに【あれ】を制御してもらわないとカナタが破滅してしまう。
肉体的にも――精神的にも。
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