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「カナタ君の頭が……カナタ君の頭が!?」
【カナタ】の体を抱き締めて絶叫するルイセ。
何事かとまわりの人間が一見清楚な少女に視線を向ける。
「ルイセ。アンタ、うるさい」
露店で買ったアイスをなめなめユズキ。
今日のユズキは長い髪をお団子にしていた。
「だってユズキさん! カナタ君の頭がもげて――」
「いやいや、それ人形じゃん」
呆れたように言うユズキ。
その【カナタ】人形なるものを一言で表現するなら【ブサイク】である。
背丈は二人が知る少年と同じなのでそれがかえって不気味だった。
「この前から何をしているかと思えば、それをつくっていたの?」
「自信作でした」
――過去形である。
しかし自信作というわりにはまわりの反応は悪かった。
昼下がりの公園。
小さな子供たちが鬼ごっこをして遊んでいたわけだが……
ルイセが抱えている【カナタ】人形を見た瞬間、何人かが泣き出した。
「アタシはルイセのことを何でも超人かと思っていたけど」
エレント学園のアイドルでもあるルイセ。
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