27445人が本棚に入れています
本棚に追加
「私、知っているのですよ? ユズキさんの袋の中にちっちゃなカナタ君人形があることを」
「あ、え……あれは違うわよ。あれはたまたま露店で売っていたもので、カナタに似ていたから買ったわけじゃなくて」
「でも、大事にしてますよね?」
「してないわよ!」
ユズキは全力で否定したりするがルイセは信じてなかった。
何だか気恥ずかしさを覚えたユズキはルイセから視線を外して咳払い一つ。
「あー、ルイセ。カナタがいなくなったのことで現実逃避するのではなく、今を見なさい」
「そうですね。カナタ君、私たちから逃げるなんて許しませんよ」
真剣な顔でルイセ。
「ユズキさん。カナタ君の居場所、分かりました?」
お嬢様でもあるユズキの情報網はかなりのものだ。
こんなに小さな町にもギルドがあり、そこに彼女の知り合いもいた。
ルイセに内緒で行方不明中のカナタを探してもらっていたわけだがルイセはお見通しだったらしい。
ユズキはわずかに眉を寄せるようにして、
「行き先は不明だけど、目撃された場所は分かったわよ」
最初のコメントを投稿しよう!