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「どこですか!?」
「それは――」
ルイセの剣幕にややたじろぎながら、ユズキは答えた――
☆
その頃、カナタはというと――
ルイセとユズキがいる町から少ししか離れてない場所にいた。
どこまでも続く、エメラルド色に輝く草原。
そこにはいくつものテントがあり、カナタはその一つの中で横になっていた。
「おーい、カナタ君。大丈夫?」
カナタがボンヤリと三角の形をした天井を見つめていると一人の少女が姿を現した。
年齢はカナタと同じくらいか。
長い黒髪を肩あたりで切り揃え、大きな黒目に元気がいっぱいつまった輝きを宿していた。
背は小柄で美少女に分類される顔立ち。
動きやすそうな服装に胸の大きさは……本人希望で秘密である。
日焼け一つしてない腕にはナイフの刃が欠けたような形をした紋章が刻まれていた。
それが意味するのをカナタは知っていた。
盗賊ギルド【野良猫】の証である。
しかしカナタが現在いるのは盗賊ギルド【野良猫】のアジトではなく――
旅一座の簡易テントの中だった。
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