桜の木の下

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誕生日、クリスマス、年末年始、体育祭に文化祭、バレンタインデー……あの日から、ここに来なかった日は一度もない。テスト週間だろうと、夏休みだろうと関係ない。あいつのいない日々なんて楽しくないんだ。ここに来ていれば、ひょっこり姿を現してくれる。そう信じていたのだろうな。 なぁ、今日、俺はさ、一つ決めてることがあるんだ。 今の俺を見たら、あいつは馬鹿だと思うんだろうなって何度か考えた。だからさ、もし、お前が今日、この桜の木の下に来なければ、俺は普通に過ごすことにする。何を以て普通なのかわからないけど、普通に授業を受けて、普通に行事に参加して、普通に進級……普通に放課後はこの桜の木の下に来る。そんな普通な生活を送ろうと思う。
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