桜の木の下

辺りはすでに真っ暗となっている。携帯で時間を確認すると８時少し前、残り約４時間で今日は終わりを告げ、俺は今までの生活を改める。

そんな俺の傍らには１本の傘とタオルが２枚。これらは先ほど俺と同じ部屋の男が持って来てくれたものだ。本当、感謝してもしきれないくらいだ。

「……雨、止んだな」

いつの間にか雨は止んでいる。星や月は見えず、雲が広がっているが。

「そういえば、雨の中、喧嘩して、雨の中、仲直りしたことがあったっけな。そのあと晴れた夜空を見たな」

喧嘩した理由なんて覚えていないけど、些細なことだったような気がする。でも喧嘩した理由を忘れてしまうくらい、あの時の夜空は綺麗に見えたことは間違いないだろう。今日は、そんな夜空を見ることはできそうにないな。