第一章「胎動」

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ガタンゴトン…ガタンゴトン… 時は既に7時過ぎ、 颯爽は乗り換え列車を待っていた 「えー…と、うん、そろそろか。」 二人の姿は見当たらない。もう一分前だ。信号もそろそろ…あ、青になった。 しかし、まだ来ない 「違う電車か…?」 最後まで尾けてやろうかと思ったが… まぁ、仕方がない。 そして来た乗り換え電車を眺める 『辰野』とあり、それに乗り込む プシュー…ガチャン。 乗り込み、席を確認する 空いてる席を見回して探していると、一人、見覚えのある男がいた さりげなく横を歩き、本人かどうか確かめる。 「コバヤシ…?」 こちらを見て驚いた顔をする男 「颯爽…か?」 「コバヤシだよな!」 「久しぶりじゃねぇか!」 ジュディ・コバヤシ19歳、野球部だった仲間だ 二年次でのクラス替えで同じクラスになり、現在は東京の有名大学にスカウトされて、その腕を振るっている 「なんだ、どこから乗ってたのよ?」 久しぶりの再会を懐かしむように問うコバヤシ 「東京から。お前は?」 「俺も東京から!」 なんと、同じ場所だったとは… 意外と気づかないもんなんだな。と思ったりする 「おお!なんで気がつかなかったんだろ。」 「ああ、俺ちょっといろいろ考えてたしなぁ…」 「なんだ、恋の悩みか?」 「そんなんじゃねえよ。実はな…」
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