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颯爽はこれまでのいきさつをコバヤシに話した
同窓会に参加することになったこと。で、東京駅に行ったら怪しい二人がいて
なんとそれが総理大臣とその秘書だったこと
で偶然同じ長野行きの電車で、追っかけたらさっきの駅で見失ってしまったこと…
「ぷっ」
一笑にふすコバヤシ
いぶかしげな表情をする颯爽
「なにがおかしいんだよ?」
「だってさ、今は国会中だぜ?まだ秋あたりで政権とったばっかりでただでさえ忙しい総理大臣がこんな長野なんかに来る訳がねぇじゃんかよ。ま、興味あんまないけどさ。」
「それはそうだけど…」
「なんか引っ掛かるのか?」
「まぁ、少し…な。」
あの存在感、引っ掛からないはずがない…
「ま、はぐれちまったんだろ?」
「まぁそうだけどさ…」
「じゃあ、うだうだ考えたって仕方ねえよ。」
「ま、そうだよな。」
まぁ、故郷に帰れるんだしな…
「そうそう。ま、パーッとやろうぜ?」
「なにを?」
「同窓会だよ」
「ああ…、モチロンだ。しっかり楽しんでやるさ」
颯爽は腕に巻いた時計を眺める。既に時間は9時を回っていた
暗闇の中を進む電車
長野独特の山に囲まれた風景もまったく見えない闇の中で
二人の運命の歯車は
確かに、きっちり
噛み合うのだった…
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