第一章「胎動」

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「見失っちまったか…」 相変わらずの喧騒の中、駅弁を頬張りながら人の流れを眺める颯爽 さっきの怪しい二人組、もとい現在の首相とその秘書かと思われる二人は、自分が駅弁を買ってる間に消えてしまった… 「ま、同じ電車に乗るんだろうがな。」 焦る必要はない。まぁいらん事に首を突っ込んでいるのはわかっているのだが 腕にはめてある時計を見る颯爽 「あと10分か…」 あと10分で懐かしの故郷に帰る電車に乗る事が出来る 最近は無気力な状態が続いていただけにさっきの一件には熱が入ってしまった もちろん、まだ覚めないが… 「なんでこんなとこにいるんだろ…」 それもそのはず 今の季節は春、国会中なのは言うまでもない。 ただでさえ多忙な内閣総理大臣が国会中に東京を抜け出せる筈がないわけで 何かあるんじゃないか…人体実験とか核兵器が長野に隠されてるとか、そこで大量破壊兵器を製作中とか… 「ま、それはないわな。」 左腕に巻かれた腕時計をもう一度確認する 中央上にOMEGAとある、一応一流ブランドの時計だ。その時計が、午後6:54分を指す 「キリ番、か…」
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