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3.フェルト将軍
「ふむふむ、これをこうやって……」
人気のない研究室で、一人熱心に研究している少女がいた。
そんな少女の傍らには、獣人と呼ばれる種族が立っていた。
所狭しと走り回る少女は、独り言を言いながら何か書いている。
「…ママ、何してるの[?]」
少女が何を書いているのか覗き込む様に獣人が言った。
「ん[?] あぁ、ダイコクか。ちょっとな、メリーメリーが見つけてきた骸骨の使い道と強化する方法を考えていた。」
ほらっと、見せてきた紙には、試行錯誤の後が伺える位に書きなぐられていた。
「全く、研究に行き詰まったら、俺の所へ何でも、流しやがって…。」
そんな少女の全身から怒りのオーラを感じたのかダイコクは後ずさりした。
「あらあら、息子が怖がってるわよ。」
扉のノックする方向を見てみると一人の女性が立っていた。
「メリーメリーか。何の用だ[?]」
「ねぇ、フェルト。 今度、ルスランとの戦いで、ダイコクをソーマ城の大守にしようかと思うのだけど、あなたはどう思う[?]」
ちらっとメリーメリーと呼ばれた女性はダイコクを見た。
「こいつで大丈夫な戦いなのか[?]」
フェルトと呼ばれた少女は不機嫌そうに言った。
「えぇ、相手はマサムネ将軍率いる小数軍で湖の近くまで来てるみたいだし、今、アルケインもアザルトとの戦いに出てるから、頼めるのはダイコク位なのよ。」
フェルトはダイコクとメリーメリーをちらっと見ると
「分かった。だが負ける戦いだけは御免だからな。 分かったら俺は研究で忙しいんだ。また後日にしてくれ。」
少女は、そう言うとメリーメリーに背中を向け、研究の続きを開始した。
「ふふっ、助かるわ、フェルト♪」
メリーメリーは研究室を後にし、フェルトの研究は明け方まで続いた。
第3章 フェルト将軍 終
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