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そんな時、父からある有名な作家を紹介された。
二人は親友であり、彼の所で修行してこいとの事だった。もちろん胡桃は大喜びで作家の自宅にやって来た。
しかしそこにいたのは本人ではなく、その息子でありどこからどう見ても普通の高校生である頼人だった。
彼は町ではちょっと名の知れた探偵なのである。
そんな空気は微塵も感じないのだが。
頼人の父は海外へ飛んだらしく胡桃の両親も仕事上の関係で海外に飛んでしまい、気付けば家も売り払っていた。
行く宛のない胡桃を渋々頼人は家に居候させる事にした。
いつしか胡桃は彼の助手という立場になっていた、というのがこれまでの経緯である。
立川賢作(タチカワ ケンサク)は頼人の父と知り合いであり、頼人の推理を間近で見ている警察関係者でもある。彼の事は信用しているし、胡桃にとっても良い相談相手の"おじさん"である。
そんな三人が今日行く場所とは……
「オリンピック出場選手が使っていたとなれば人は沢山来る。俺が人混み無理なの知ってるでしょ、立川警部。」
「大丈夫だ。二月のオリンピックが終わって、もう三ヶ月以上も経過している。そこまで人はいないはずだよ。」
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