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「昔のことを思い出すとソリから飛び降りたくなるぜ(声:サンタ)」
本日、突如上空からヒョウが襲来。
逃げ惑うスズメ。
窓の内では、紅茶を片手に優雅な午後の一時を過ごす私。
「ひぃーっひっひっひ。絶景、絶景。逃げ惑う民の姿が何よりの甘味じゃわい(声:魔女)」
ベランダの物干し竿、突風に揺らぐ。
「魔女よ。そこまでだ」
「お主は……ほお、これはこれは。『夢を植える者・ウェイサントゥルヌーシア』ではないか」
「……今は『サンタ』と名乗っている」
「結構、結構。して、そのサンタとやらがワシに何か御用かな?」
「お前の愚行を見過ごせる俺ではない」
「ふぇっふぇっふぇっ、青いのう」
「何が可笑しい」
「ワシは知っておるぞ。お主が『夢のため』と称して偽善を重ねる理由を。結局は『贖罪のつもり』なのじゃろう?」
「黙れ。お前に何が――」
「ふぇっふぇっふぇっ、いいかげん悟りなされ。お主は過去の償いをしているつもりなのかもしれんが、それすらも過ちじゃ。お主の行いは、穢れた自身の過去を別のもので塗り固めているだけ……お主の過去の過ちが濯がれる日など、永久に訪れやしないのじゃ!」
絶望の時は訪れた。
そろそろ仕事なので支度を始める。
決して、『あれ? サンタは解雇じゃなかったの?』とか、残酷なことを言ってはいけない。不況下での再就職がいかに厳しいことか……。
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