物語は始まらない。

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   では、名称だけで容姿等をイメージできるような、それでいて著作権に触れなさそうなモノとはなんだろう――。  まず真っ先に思い浮かんだのがサンタクロースなのだが、私の脳のネジはまだ弛んでいないだろうか?  あなたが何を思い浮かべたのかは分からないし、分かったところで私の想像力の貧困さを再確認させられるだけなので知りたくもないが、ともかく、しばらくはサンタクロースが主人公という設定でいかせてもらう。  しかし、『サンタクロース』という名称を聞いて、ミニスカートに黒タイツのほうを想像されては困るので、性別はあらかじめ『男』だと断っておく。  そんなことを書くと男性読者の一部は落胆を、女性読者の一部は軽蔑の念を抱く可能性もあるが、もう書いてしまったものは仕方がない。  そういう内容こそ主人公に言わせるべきだったんだ――と気づくのは、だいたい手遅れになってからのことだ。  取り返しのつかなくなる未来を予想できる者などいない。だから人は、『後悔』という単語で言い訳をするのである。 「ふぉっふぉっふぉっ。メリークリスマス!」  そして私は、意味不明な展開で誤魔化すのである。  
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