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翔びたいな
そう、思わない?
ふと、君の声が響く。
生温い風が髪をさらって、頬に擦れた毛先がくすぐったい。
あの子も、いつも髪に風がじゃれているような子だった。
あの子そのものが風を纏っているかのように。
長く、傷んだところのない色素の薄い髪は、綺麗だった。
寝転がった俺を覗き込んだ時に、太陽に透けて煌めくそれが、好きだった。
彼女の纏う風に遊ばれるのも好きだった。
ピー――ヒョロロ…
響いた啼き声に、あの鳥はトンビなんだ、と頭の隅で思った。
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