産女 ―抱託―

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  産女、或いは姑獲鳥とも書くが、姑獲鳥は中国の妖怪である。 その名の通り鳥の姿をした妖怪であるが、子供を産めずに死んだ女がこの鳥になり、夫婦から子供を奪おうと飛んでくるとされていた。 日本の妖怪である「産女」はこの姑獲鳥と同一視される事もあるが、特徴的にはあまり似ているとはいえない。 日本の産女の場合は大体が水辺に現れ、血まみれの腰布を巻いた妊婦の姿なのだという。そしてその手には必ず赤子を抱いている。 中国の姑獲鳥と似ているのは、赤子を産み損ねて死んだ女が成る、という点だけだ。 よく知られている話としては、産女は川のほとりを歩いているとふらりと現れ「子供を預かってくれ」と頼んでくる。 その子を預かってしまうと産女は消えてしまい、赤子は手の中でどんどん重くなって動けなくなってしまうという話だ。 「濡れ女」という妖怪もほぼ同じ事をする為、名は違えど同じ妖怪なのではないかとする説もある。 なぜ産女の姿が「血まみれの腰布を巻いた妊婦」なのかといえば、 封建時代においては女性は子供を産んで家を存続させるのが重大な仕事であり、 それができずに死んだ女は血の池地獄に落ちると考えられていたからだという  
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