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「一応働いてましたからね。
そこそこ預金はある…」
「じゃあバイトは!」
政宗さんが切羽詰まったように話を遮った。
預金の額を確認しつつ口を開いた。
いっちゃ悪いが、結構な額だと思う。
欲がなかったから無駄遣いをしなかっただけで、高収入なわけではなかった…というか、バイトだし。
「バイト…しなくても払えるとは思いま…」
「NO!」
「なん」
「お前に拒否権はない!」
「なぜ…」
「俺が決めた!今決めた!」
UZEEEEEE!!
野菜ジュースでも飲んでろ!!
「というわけで…バイトとして雇っていただかなくても大丈夫だとは思うんですけど…」
小十郎さんに向き直ってやんわりとバイトの勧めをお断りした。
人件費的なもんだいもあるし、お邪魔になるよりはいいだろう。
政宗さんに付きまとわれなくて済むし。
「そうか…バイトはしないのか…。」
「は、はい…」
「………。」
え、なんだろう。
小十郎さんがショボーン(・ω・`メ)てなってる…んですけど…。
「そうか…わかった…。」
ふう、とため息をついた小十郎さんにどきっとした。
せ、せくしー…。
じゃなくて…う、自惚れてもいいですか。
バイトに期待してたって受け止めていいですか。
「あーあ!!右目の旦那バイト断られちゃったねー!」
「さ、佐助…そんなところから入ったら駄目でござる…」
ぼーっとしていたらどこからか茶化す声が聞こえた。
バッと政宗さんを睨み付けると、政宗さんはあきれたように窓を見ていた。
視線を追うように窓をみる。
「あんたが新入り?」
オレンジの人が窓に腰かけていた。
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