2日目

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……‥・ 「へえ、飛鳥ちゃんって言うんだ?」 「あ、はい……ちゃん!?」 ちょっと待て、ちゃんってなんだ…。 首を傾げる俺をスルーして目の前のメルヘン…もとい佐助さんは手を出してきた。 「?」 「握手だよ握手。」 握手…。 そういえばそんなコミュニケーションの仕方もあったなぁ。 自分の手を差し出すと、すかさず佐助さんが俺の手をとった。 佐助さんの手は温かくて、安心するような気がした。 「ほら、旦那も。」 「えぁっ!?そっ、某もか!?」 握った俺の手を佐助さんが旦那さん…もとい幸村さんの方へ誘導した。 しかし予想以上の拒否っぷりに危うく心の汗を流すところだった。 ずーん… 耳が垂れ下がってきた。 うぜぇ…この耳。 「ほらぁ!飛鳥ちゃんも悲しんでるじゃん!」 「し、しかし…」 まだ拒否するのか…! 何が悪いんだ!!俺が何をした!! 殴りましたすみません!! しかし器の小さい人だな…それだけで…。 たかが全体重をかけた渾身のパンチを丁度頬骨に直撃させただけだというのに。 あれ、罪悪感。 つか、初日でこんな存在否定されるとか…。 ご近所付き合いが…夢の暖かい田舎暮らしが…。 と、俺がわかりやすいくらい落胆していると(わざとではない)、幸村さんが口を開いた。 「お、女子と握手など…はれんちである!」
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