あまりにリアルで残酷過ぎる恋

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本当は会いたかった。だから、一回だけ、電話に出てみた。 「なあ、何で出ねぇの?」 「嫌だから」 「は?」 だけど、ため息しか出なかった。どうして、とは思わない。ただ、素直に重かった。私は鬱陶しいのだ、大好きな彼が。 理由を問いただすようなメールに、悪意すら感じる着信履歴。そのどれもが好きを削っていった。崩れて壊れていく好きと信頼と関係。それを嘲笑う神様と私。 薄々気が付いていたのだ。好きが好きでなくなっていくことを。過去形になっていき、それからその過去形すら疎ましくなっていくことを。 着信履歴にいたたまれなくなって、否、鬱陶しくなって、電話を取る。何、と無愛想な応答しか、出来なかった。 「嫌いになれない、って言ったのにな」 返す言葉はない。だって、確かにその時は嫌いになれないと思っていたのだ、嘘ではない。紛れもなく、その時は嫌いになれる未来など描けなかった。 ただ、時はいつでも残酷に過ぎていくものだ。心をも巻き込んで変えていった。 「もう、うるさい」 あまりにも夢と現実とはかけ離れていた。 .
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