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気付けばいつも、もう何度も聴いた曲を繰り返している。聴き飽きたはずのそれが手離せずに俺は陽が昇るのを見た。
雀の鳴く声を聞いて、また眠れなかったと思った。何を恐れているのか、何が必要なのか。いくら考えても分からない。
身動きが取れないと諦めたふりをしていた。気付けば簡単なことで、孤独で自分を縛っていた。いつの間にか、どこで見つけたかも分からないそれを巻き付けていたのだ。重い鎖のはずなのに、なかなかどうして、君の声を聞きたいと思うまで気付かなかった。空が赤く焼けた夕方、感傷癖に訴えかけられた。
寂しいと孤独の中で泣くくせに、人に触れたいと思うのは恥ずかしいと嗚咽を噛み殺した。妙な自尊心がそれを誇りだと豪語する。人に触れることを恐れた、ただの臆病者である俺が。
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