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そして、
三日はあっと言う間に過ぎ
真田家中の者達が集った。
『此度は皆、忙しい中
すまんな、無論、対村上の議だ』
幸隆のその言葉で
談義が開始される。
『幸隆よ、進言して
兵を出してもらうなら
今だと儂は思うぞ』
海野本家の棟綱が意見を述べる。
『まぁ、敵もまだ足元は
完全に固めてはおらん様だし、
某も攻め時は今と思うが、』
幸隆の妻の兄 河原隆正も
それに続き口を揃える
『俺もそう思う。
早い段階で動いてもらい
領土を切り取り、
旧領を手に戻したい。』
幸隆の言葉に
一人意を唱える者が居た
甚平である。
『先に申した通り、
今はまだ時期が早すぎます、
敵は村上のみにあらず、
小笠原、その背後に美濃 飛騨の
大名も絡んで来るやもしれません。
まだ武田家も連勝を重ねておりますが
ここで、十分な戦果無くば
悲願も遠のく事にっ』
『だがな、善は急げと言う。
儂も幸隆の旧領復帰を
期待しとる。今動かずして
いつ動く。』
棟綱が反論する。
『幸隆には一刻も早よう
返り咲いてもらわねば、』
『甚平、今を持って他にない。
御館、晴信公も
そろそろ出陣を検討し、
家臣団に触れを出しとる。』
『...じゃ、止めるべきでしょう!!!
今無意味に信濃を攻めては、、、
今少し刻を下せえやっ!!
かならず弱点を絞りだし
調略も軌道にのせやすっ』
『あのな、無意味では無い、
これ以上は待てん。』
普段息を鳴らす様な事の無い
幸隆が肩に力を入れる
『くっ、旦那も変わられたな....』
『何がだ。志を成し遂げたいんだ、
もう近くまできておるのだ。』
『前までならこんな
性急な行動を取るなんてしなかった。』
ここで仲介のなだめる声が入る
『ま、まあ二人共、
落ち着いて話合いましょうや』
『そうです、
今までさんざん供に来たではありませんか』
喜平と権平である。
『お前等もなぜ止めん。
こういう時は思う処を
伝え進言するが俺の役目だ。』
実は喜平、権平も
甚平の意を尊重し
その事は前々から
伝えてはいた。
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