第7章 新たな一歩へ

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しびれを切らした晴信が 少しの沈黙を遮った。 『おい、いい加減にせい、 で、条件とは何なのだ?』 ここに来てようやく 勘助が口を開いた。 『しからば… 領土返還は無用! 自身が手柄を立てた暁に、 褒美としてくれればよい、と』 この言葉に晴信は、 言葉を失った。 悪い意味では無く 差し出したものを蹴り飛ばされた 晴信は前にのめり込む様に 体勢を崩すと再度、勘助に問う 『それは真田弾正が自身で 言いおった事か?』 『ハァ!この勘助、 直に目通りし受けた事伝にて、 くれぐれも御館に伝える様にと』 再度、確認を終えた晴信は ニヤリと微笑むと 『で、あるか! 見事にやられたなぁ、 これで貸しは作れん様になった 己が物は己で取り戻すと来たか』 その様子を見た勘助は 『で、如何にいたしましょうか? 真田一党にはそのまま 信濃に入ってもらうつもりでしたが、』 その言葉に 『よい、ここ甲斐に 屋敷を与える! すぐにでも活躍の場を やる事になるだろう‥ 勘助っ!大義であった! 下がってよいぞ!』 勘助は一度、頭を下げると 『では、その手筈は 某が承りましょう! すぐに甲斐へ入国される様 使者を送りまする。 では、これにて!』 勘助が退室し 一人になった晴信は、 笑い声を上げると 『ふっ、なんとも頼もしい、 俺の夢みるものに一歩 近づいたかもしれん!』 と、幸隆の加入の約定を 取り終えた事に歓喜した。
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