第7章 新たな一歩へ

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ー 上野国 箕輪城下 ー 幸隆の屋敷へ 勘助からの使者が 訪れていた。 『と、いう事にござる。』 使者は勘助からの、 事伝などを細かく伝えた。 静かに聞き終わったあと 幸隆が口を開く。 『ありがたいが、 手勢での迎えは止めていただきたい、』 勘助は幸隆一行が、 屋敷を脱した際に 国境まで手勢を率い 迎えに行くと、申し出ていた。 出奔という形をとれば 見破られた場合、追手の軍を 差し向けられても不思議では無い それらへの事前対策の意味での 勘助の心遣いであった。 だが、使者も勘助からの 厳命を受けているので 引き下がらない。 『しかしながら‥ 山本様よりの厳命にて、 防備を怠れば何が起こるか わかりませぬぞ、』 しかし、事を大きくしたく無い幸隆は (恩ある業正殿との衝突だけは、 避けねば‥。それに少数でも 国境に軍が現れれば事だな‥) と思い使者に対し その胸中を述べ 勘助に伝える様に伝え 何とか丸く治め 打ち合わせ終えたのであった。 そしてこの日から幸隆は 病と称して出仕を停止させた。 機を伺う意味合いなどもあったが やはり会えば罪悪感のようなものにかられて苦しくなるのが 目に見えていたからでもあった
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