第7章 新たな一歩へ

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『殿、業正様が… お越しになられました!』 権平が駆け足に 幸隆の元へ報告する 『なに、 いま何処におられる!?』 幸隆も少し焦りを出し 権平に言葉を向ける 『はっ、広間に‥』 『すぐ行くっ!』 そう言うや否や 足早に広間に向かった ピシャと障子を開けると 業正と信綱が座って待っていた 『これは、業正殿‥』 幸隆が開口一番にそう言うと 『なんだ、思ったより 元気そうではないか、 ははっ!心配して見舞いに来たんじゃ』 清々しい笑顔で そう言葉を向けられた 『いや、かたじけない 昨日ぐらいから大分、 楽になったのですが 大事をとり今日も休んでおりました』 会釈をしながら 幸隆が返答する 『よかったわ! ほれ見舞いの品じゃ、 しかし、なんだか 屋敷が慌ただしい様に 見受けられたが』 信綱が見舞いの品を 差し出し質問する 日中であれば 怪しまれるため 夜に出向の準備をしていたのが ここにきて裏目に出た 『いや、大掃除と 整理を兼ねて‥な』 と質問に返すが 不思議そうな表情を信綱が 浮かべる さすがの幸隆も この状況では冷や汗ものである 『病がぶり返すぞ! 整理整頓も大事じゃが いまは養生を第一に考えねば、』 信綱が幸隆に再度、 言葉をかける 『あぁ、病に伏して 潔癖が出よったみたいだ、 ありがとうな、』 笑いを誘う返答に 業正と信綱も笑みを浮かべる 『今すこし休んでよい、 いまこれと言って急ぐ 事も無いからな、』 少し雑談を楽しんだあと 業正はそう言い 屋敷を後にした。 二人が部屋を出たあと 『なんと情の深い方だ、 しかし…時は乱世、 もう後戻りはできん! 許してくだされ!』 と、業正の後ろ姿に 謝罪を込めた
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