第8章 別れと旅立ち

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険しい表情の晴信の言葉に 幸隆も覚悟を察したようで 『我、主に頼むは、 晴信公以外にはおらん様だ。 では、その大きな志、 某にも抱かせてもらいましょう』 幸隆自身 晴信の抱く野望に関心を示した この時代 天下統一など夢のまた夢の様な話だった それを熱く口にする晴信に 戦国を生きる男として胸を熱くした 『はっはっは!! なれば信濃征服に戸惑っておる 場合では無いな!! 天下への第一歩はヌシに かかっておるぞ、弾正!』 『まずは3年、いや2年頂きたい。 それまでに必ずや村上を 始めとす信濃衆、 風林火山の旗下に組み入れまする』 この言葉に晴信が反応する前に 『なっ!! いくらなんでも 短期間過ぎはしませんかい!?』 勘助が声をあらげる 『ふふっ、言いおるな。 我等が如何にしても 今現状、打破困難な 北信濃を三年足らずで たえあげるてか、 自信はあってか!?』 加入早々の強気な啖呵に 晴信は姿勢を前のめりに 興味津々に問い掛ける 『元々、北信濃衆とは 領土も近隣、そりゃ いさかいも多々ありましたが 一族同様の者等も 多数おりまする。 やってみねば わかりませぬが、 成し遂げると肝に決め込んでおりまする』 『うむ、では、 やってみるがよい。 家中は仇敵である ソチを良くおもわぬ連中もおろう。 そやつらを黙らせるにも 信濃攻略に戦果を上げれば ソチの実力を示せよう こちらとしても 助力は惜しまず行うつもりだ。 入り用の時はなんなり申せ。』 これにより武田の客将となった 幸隆は己の旧領奪還の 戦いが始まるのであった。 北信濃を制覇したい 武田にとっても 旧領を奪還したい幸隆にとっても 攻略せねばならないのが 信濃守護小笠原氏 信濃源氏にして 信濃最大勢力の村上氏 各地に点在する豪族 これらを攻略し 北信濃を武田の手中に 治めねば旧領回復も 頓挫する事になるのである 『やってやる。 必ずやってやる!! 俺の誇りと夢のためにっ!』 幸隆はそう心に誓い 新たな一歩を踏み始めた
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