第4章 相模の獅子

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『少し黙らぬか‥』 この氏康の言葉に 討論を繰り広げていた家臣たちは 一斉に黙り、視線を氏康に向けた 『話しをしようにも、 出来ぬでは無いか。』 その表情には何の余裕やら 薄く笑みが浮かぶ。 氏康が一言、言葉を出した後‥ しばらくの沈黙が訪れる。 そんな中…… 何名かの家臣は氏康に、 問いを投げた。 家臣1 『殿…殿には何かお考えが、 お有りのご様子。 されば我等にお教え願いたい。』 家臣2 『相模の獅子…… これが殿の通称で御座るな。 殿!相模の獅子と謳われし 北条 氏康のお考え! 是非とも我等にもお教え下され』 矢継ぎ早に来る問いに 氏康も真剣な顔付きに変わり 重い口を開く。 『皆の思う処‥考え‥理論は、 先程までの軍議を聞いていて よー分かった! では次は儂の考えを皆に、 伝える番よの、』 そう始めに言葉を吐くと 氏康は上座から立ち上がり 段を降り家臣団の方へと 歩みより、家臣団の列の前へと、 腰を下ろし家臣団が取り囲む地図 を扇子で指した。
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