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戦仕度を終え城中の一角で
氏康は静に目を閉じ報せを待つ。
氏康は頭の中で事を分析する。
(恐らく集まる兵数は、多くて1万。敵軍は八万。
まともに戦おうては、
戦にならん。だが河越を、
これ以上、放置する訳にいかん。
武田の援軍もまだ到着せぬか…)
様々な思考を巡らせる。
(やはりココは"奇襲"しか
あるまい‥敵軍の油断を更に、
煽る戦法‥煽る??
そうかッ!今も奴等は、
河越に援軍に来ぬ儂に対し、
腰抜けと侮っておる筈‥
数に任せ驕りも生じておろう…)
氏康は"ある戦法"を思い付く。
それは単純だが、この状況では
抜群の効果をもたらすであろう
戦術であり策略であった。
思案を重ね思いを固めた
氏康の元へ家臣が告げる。
臣
『殿、兵の収集!!
完了いたした次第。
整列も済ませ広場に待機させて
御座りまする!!』
氏康
『そうか‥して総数は?』
氏康は労いの言葉をかけると、
兵の数を聞いた。
家臣は低い声で…
家臣
『はぁッ!!
この状況故、他の砦の配備もあり
約八千!!に御座ります』
氏康は立ち上がり
氏康
『八千おれば上等じゃ!
出陣の法螺を鳴らせッ
敵陣近くまで進める!
敵陣近くまで進めた後は、
追って令を下す!』
そう言うと歩いて兵の居る広場に
向かって行った。
家臣は氏康を見送る様に
後ろ姿の氏康に返事をする。
臣
『はッ!!
畏まって御座いまする!』
臣
『法螺じゃ~!出陣の法螺を、
鳴らせ~ッ!!』
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