第4章 相模の獅子

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戦仕度を終え城中の一角で 氏康は静に目を閉じ報せを待つ。 氏康は頭の中で事を分析する。 (恐らく集まる兵数は、多くて1万。敵軍は八万。 まともに戦おうては、 戦にならん。だが河越を、 これ以上、放置する訳にいかん。 武田の援軍もまだ到着せぬか…) 様々な思考を巡らせる。 (やはりココは"奇襲"しか あるまい‥敵軍の油断を更に、 煽る戦法‥煽る?? そうかッ!今も奴等は、 河越に援軍に来ぬ儂に対し、 腰抜けと侮っておる筈‥ 数に任せ驕りも生じておろう…) 氏康は"ある戦法"を思い付く。 それは単純だが、この状況では 抜群の効果をもたらすであろう 戦術であり策略であった。 思案を重ね思いを固めた 氏康の元へ家臣が告げる。 臣 『殿、兵の収集!! 完了いたした次第。 整列も済ませ広場に待機させて 御座りまする!!』 氏康 『そうか‥して総数は?』 氏康は労いの言葉をかけると、 兵の数を聞いた。 家臣は低い声で… 家臣 『はぁッ!! この状況故、他の砦の配備もあり 約八千!!に御座ります』 氏康は立ち上がり 氏康 『八千おれば上等じゃ! 出陣の法螺を鳴らせッ 敵陣近くまで進める! 敵陣近くまで進めた後は、 追って令を下す!』 そう言うと歩いて兵の居る広場に 向かって行った。 家臣は氏康を見送る様に 後ろ姿の氏康に返事をする。 臣 『はッ!! 畏まって御座いまする!』 臣 『法螺じゃ~!出陣の法螺を、 鳴らせ~ッ!!』
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