第4章 相模の獅子

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上野 箕輪の雄 長野業正と、 上杉の客将となっている 真田弾正幸隆である。 業正は、口々に軽はずみな事を 言う諸侯に静まる様に、 促すと憲政に進言する。 業正 『殿!北条氏康あなどるなかれ! 皆もじゃ!!優勢と劣勢は 本に紙一重。油断こそが、 一番の大敵。 今を置いて北条を叩く時は無い。 油断 驕り 言語道断!!』 業正の言葉に幸隆も続く 幸隆 『長野殿が言う事間違いなしッ! 北条は強者共がうごめく、 関東に覇を唱える剛の家! 易々と潰える者共ではござらん! ここは慎重に軍を整え、 十分に敵に備えねば‥ 取り返しのつかぬ事にも なりかねませんぞ』 家中からも一目置かれる 二人の武将の覇気をまとった 言葉に諸将も静まる。 だが‥ 状況を圧倒的有利と踏み もはや勝ったも同然と思う 者たちの油断は 言葉で制止できない ものとなっていた。 口々に皆は、 『そう熱を入れなくても‥』 『敵に勝ち目など万に一つも‥』『我等の勝ちは決定的じゃ!』 この様な言葉を口にする。 そんな頃‥‥ 北条氏康は兵をまとめあげ‥ 連合軍と目と鼻の先まで 姿をあらわそうとしていた。
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