第6章 各々の動向

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幸隆 『権平!大儀であった!』 そう誉めの言葉を言うと 歩みより権平の肩を、 ポンッポンッと叩き 笑みを浮かべた。 それから雑談が始まり 業正と小太郎隊の事。 幸隆の武田晴信軍での事。 その話合を交わし 互いに大奮闘をした事を 称え合った。 ピシャーーッ!! そんな中、 一室の障子が開き 良い体躯をした男が、 入室して来て業正に 平伏し言上を述べる。 『幸隆もおったかッ! あぁ、殿‥某が居れば 吉業様を亡くならせなんだに‥』 長野業正は嫡男 吉業を、 河越の合戦の折に、 失ってしまったのである。 業正は手を前へ出し 『信綱!それ以上は、 申すな、無念じゃ! 確かに無念じゃ、が‥ 時は戦国乱世‥‥ 武士として、 戦場にて死ねただけ 我が息子も本望だろう』 その目には涙が、 今にも溢れそうになっていた。 いくら上野の鬼武者 鬼神 と謳われる業正でも、 嫡男の死は悲しみと無念が 混雑するものであった。 しばらく沈黙が続いたが 業正が沈黙を破り言葉を出す。 業正 『で、管領様は何と!?』 信綱 『はっ!使者が先程 参った次第でして.. もう2.3日は、 そーとしておいてくれと・・・』 業正 『余程、此度の敗戦 堪えておる様じゃの、 次期に北条が功勢に 出てくるぞ、 氏康は文武の将じゃ.. この機を逃す筈は無いからの』 業正の予想通り 氏康は兵を率い 武蔵 上野に侵攻してくる 事になるのである。 談義を終え 業正もまだ戦の疲れが とれてい無いと 言う事で退席し 一室には、 真田幸隆 甚平 権平 喜平 上泉信綱 が、残り談義を続ける
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