第2章 海野平合戦

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天文十年(1541年) ―信濃国 小県郡― 真田軍は今…… 武田軍と小県の地で、 遂に対峙したのだった。 静まりかえる海野平で、 両軍は沈黙を守っていた。 武田陣営 信虎 『一挙に攻め立て 真田を始めとす海野 禰津 望月の軍を叩こうぞ! 奴等は所詮 豪族、 大軍の我等 武田 諏訪 村上の、 軍勢を持ってすれば 一時と持つまい…』 実質上の総大将とも言える 武田家当主 武田信虎は 家臣団を前に猛将らしく 強気に発言する。 だがこの発言に意を唱える者が、 居た。 『父上!相手は戦巧者と、 名高い真田 幸隆で御座る 一挙に出ては寡兵の真田方の、 思う壺に御座りましょう。 ここは機を定め状況を、 見極め撃って出るのが上策で、 御座りましょう‥』 この発言に信虎は、 信虎 『晴信、お前はまだ若い‥ 若いお前には勇猛差が足りぬ 武将たる者、攻めし時は一気に、 攻めかかるものじゃ!』 冷静に言葉を並べ返した 意見をした者は名を、武田 晴信。 この時、若干 二十歳 初々しい若武者であった。 彼は初陣の際に奇策を、 持って父が数ヵ月かけ 落とせなかった城である 海ノ口城を僅か一日足らずで、 攻め落とした。 相手の策を見破り更に上の策で、 対処する。彼は若い頃より 才気を垣間見せていた。 後世‥人は彼をこう呼ぶ 【甲斐の虎】 その名の通り彼はこれより 一年後に当主の座に着き 甲斐源氏の名門 武田家を 日の本の一、二位を争う 大大名にまで一代で押し上げる事 となる。
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