第6章 各々の動向

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バシャーン! 障子を開けた幸隆の目に、 入って来たのは、 今にも殴りかかりそうな勢いの 棟綱たちを、他の者等が 止めている光景であった。 幸隆 『なっ何をしておるっ!! 客人相手に何たる事をッ!』 めずらしく幸隆が、 怒鳴り声を挙げる。 幸隆の怒鳴り声に、 部屋内に居た者等は、 すぐに黙り座り込んだ。 覇気を浴びた幸隆の言葉は 普段から側に要る真田一党 ですら、凍りついた。 それぐらいに幸隆が、 烈火の如く怒る事は珍しかった。 棟綱 『しかし‥幸隆よ、 こやつ等が我等に、 どれほどの仕打ちをしたかっ、 忘れた訳では、あるまい!!』 棟綱が幸隆に言葉を向ける。 幸隆は腰を下ろし、 武田の使者として参った者等を見た 幸隆 『かっ勘助では無いかっ! それに武田家宿老の、 板垣信方殿っ!』 勘助 『我等は相当に嫌われておる様ですな.河越合戦来ですな、幸隆様!』 笑みを浮かべた面持ちで、 幸隆へと挨拶する。 棟綱 『勘助はよー知っておる! 昔、幸隆の客将であったからな それに海野平合戦には、 関係無い故、捨て置けるが‥』 幸隆 『まぁまぁ、 棟綱殿!落ち着き下され! 如何に過去に敵であったとは言え 客人は客人! 無礼は許しませんぞ』 その言葉に棟綱は、 黙り込み座り込み 幸隆の次の言葉に耳を傾ける。 板垣 『フッ、弾正殿! 益々、たくましゅー 成られたなっ、 海野棟綱殿等の怒りももっともじゃ!なれど今日は喧嘩を、 しに来た訳では無い……』 鋭い目付きで幸隆に そう言葉を向けた。 幸隆は、 晴信が重用する 武田重臣二人の来訪に ただ事では無いと察知し 皆に部屋から出る様に促した。
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