第一章 会議

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―――それは、ある高校での入試会議、中学生の受験も下降期に入る頃にそこでは推薦入学の候補者を決めていた。 「今年の候補生は水泳と陸上で2人ずつ、これはほぼ決まりかの。後は……ん?」 と教頭は訝しげな顔をして書類を凝視する。 「軽音楽部?この書類を出したのは朝倉先生ですかな?―――別に私は軽音楽部について、どうこう言うつもりはありませんが、さすがに推薦枠を設けるのは…」 その教頭の言葉を聞き、周りの教師がざわめく。 「いえ、教頭はそう言われますが、実際の所、今年引退した三年生は県の大会では多数の賞を獲得し、東日本の大会でも奨励バンドに入賞しました。それに今年の二年生も三年に劣らない可能性の持ち主ばかりです。どうか再度検討の方を…」 と立ち上がり深々と頭を下げる。 すると、一人の教師が納得のいかない顔で反論する。 「確かに朝倉先生が軽音楽部の顧問を務めてから文化祭の演奏や生徒の態度が良くなった事や実績も伴っているは認めます。しかし、推薦枠というのはそれ相応の実績がなければ成り立ちません。そこの所はどうなんですか?」
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