嘘。

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「どうしたんですか?」 葉も色付き、寒くなり始めた季節。 星の降りそうなベランダで薄着まま煙草を見つめる貴方に声をかけた。 いつもなら恋人とベットにいる時間でしょう? 「ん…なんとなく。」 見つめていた煙草を口に運ぶ仕草を見ながら、貴方の目が赤いことに気付いた。 泣いたんだ… 誰の事で貴方が涙を流したのか、何と無く解ったから、そのまま貴方をベランダに残して部屋に戻った。 『泣かないで…』 その一言を残して。 ベットに入ったからって眠れるわけもない… でも明日も早い… そんなことを考えて無理矢理目を閉じるけど… 貴方の顔が今日はやけに頭から離れない。 「僕も…泣きそう…」 そう呟いた瞬間。 コンコンと扉を叩く音と共に、僕を悩ませている顔が、部屋に入ってきた。 少し申し訳なさそうに笑顔を浮かべて… 「一緒に寝ない?」 「………どうぞ?」 寝ていた場所を端にずらして、布団を捲る。 「…襲わないでね?」 「出ていきますか?」 「ごめんなさい。」 一瞬僕の気持ちがバレタのかと焦った。 でも… 僕は、嘘は得意なんですよ。
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