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英(はなぶさ)ちえりの友達、羽田つぐみ。
彼女は目の前で起こっている現象について、自身の頭の処理能力が追いつかないという事態に見舞われた。
頭から煙が出そうだ。
彼女は職員室に行き、ちえりがランドセルを忘れて、家にとりに行ったことを担任に告げた。
それで、担任と一緒に教室に向かったわけだが。
「え? 羽田さん、どういうこと?」
スポーツ刈りでメガネをかけた男教師は、そう羽田つぐみに問いかける。
「問題を、整理しようか」
そういって担任は、とある机を指さした。
「あそこはちえりちゃんの机だね」
「そうです」
こくり、とつぐみは頷いた。
「え~と、で、あの机の上に置いてあるのは?」
「ちえりのランドセルです」
「間違いない?」
「…水色のランドセルは、このクラスでちえりだけですから」
冷静な言い回しでつぐみは答える。
「で、ちえりちゃんは何をとりに家に帰ったんだっけ」
ここが核心部分だった。
「ランドセルです」
そのランドセルは机の上に置いてある。
「ふーむ…」
そう唸ると、教師は顎に手をあて、考え込んでから、言った。
「あるよね、ランドセル」
「ありますね…」
うなだれる、つぐみ。
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